エッセイ

無宿渡世母がゆく 子育てコンビニ編 10

無宿渡世母がゆく 子育てコンビニ編 10のイメージ

2022年5月27日

無宿渡世母がゆく 子育てコンビニ編 10
―風邪っぴき大五郎―

水無田気流

 

わが一子大五郎(仮名)、現在3歳9か月。
4月から元気に幼稚園に通っている。現在、大五郎は幼稚園大大大好き、毎日「たのしー!」と言って笑っている。
……本当だろうか。にわかには信じられない。なぜなら私は子どもの頃、幼稚園が大の苦手だったからだ。制服を着た園児たちが集団でいること自体が恐くて、朝礼などでは部屋の隅に隠れていたこともあった。
だから子どもが産まれたとき、「私の子だから、将来園庭の隅で“蟻の観察”をしているような子どもになるかも」と思ったものだが、どうやら今のところ正反対のようである。

ところで、この5月に私はひどい風邪を引きこんだ。声がまったく出ず、出たと思ったら、どう聞いてもマツコ・デラックスかミッツ・マングローブのような感じである。よろよろしながら仕事をしていたが、そのうち大五郎にうつしてしまった。
「ママはお風邪だから、あんまり近寄らないでね」と言っても聞かず、それどころか私がくしゃみをするたびに、ティッシュをもって「あい!」と渡しに来てくれていたためか。

発熱・咳・鼻水と、三拍子そろった見事な風邪のため幼稚園を休ませたところ、大五郎はずっと泣いている。「どこか痛いの?」と聞くと、涙と鼻水で顔中をべたべたにしながら、「〇〇くんと遊びたいの。〇〇ちゃんと遊びたいの、〇〇くんが……」等々、延々とお友だちの名前を言っている。
どうやらたった2か月足らずの間に、この子にはすでに「お友だちと一緒の世界」ができあがってしまったようである。頼もしいような、少し寂しいような気持になった。いったい、幼稚園ではどんな風に過ごしているのだろう?

ようやく治って、再び元気に通園してきた大五郎の連絡ノートを見ると、担任の先生より「お友だちが泣いていると、ティッシュをもってきてふいてあげている」とのこと。
幼稚園でもあれをやっているのか、過ごし方は家と同じか、大五郎……。

<続く>

 

コンビニ通信vol.20(2012年1月発行)掲載

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