エッセイ

無宿渡世母がゆく 子育てコンビニ編 11

無宿渡世母がゆく 子育てコンビニ編 11のイメージ

2022年5月27日

無宿渡世母がゆく 子育てコンビニ編 11
―大五郎初めての夏休み―

水無田気流

わが一子大五郎(仮名)、現在3歳11か月。
人生初めての夏休みである。この夏は、初めて青森にある夫の実家の墓参りに行った。

行きは大好きな寝台特急「あけぼの」に乗って大興奮。現地に着いたら夫の家の菩提寺へお参りに行き、翌日は墓参りへ。度重なる地震のせいか、墓石の横の土は盛り上がり、泥をかぶり、周囲にはガラス片が散乱していた。泥を流すため、大五郎と何度も桶をかついで水道場と墓を往復。大五郎、水遊びか何かと勘違いしているのか、「おかはまいりは楽しいね!」と言って笑顔である。

さらにその翌日は、夫の先祖の武具が飾ってあるという小さな神社へ。長い槍が数本、うやうやしく飾ってあるのを拝観。ゆっくり見たかったが、大五郎が子ども用スリッパを手に持って走り回ろうとするため、断念した……。

その後、岩木山神社に寄ると、ちょうど「お山参詣」の日であった。にぎやかな屋台が立ち並ぶ中、子どもを連れて参詣するのは至難の業である。「仮面ライダーのお面」「綿あめ」「焼き鳥」その他もろもろ。目につくたびに、いちいち親の腕を引っ張り「食べたい!」「買って!」とやかましい大五郎。ヘトヘトになって大五郎をなだめすかせつつ参詣を済ませ、屋台に寄った。
「焼き鳥!」と騒ぐ大五郎に食べさせようと暖簾をくぐると、店のマダムはどう見ても湯婆婆かドーラ、いずれにしても宮崎アニメ風女傑である。一皿注文したはずが、なぜか二皿持ってくる湯婆婆。だが、文句を言うと魔法を放たれそうな雰囲気で何も言えない。美味しかった上、大五郎が喜んでほぼ全部平らげたので文句はないが……。

後日談としては、この時神社仏閣などに参りすぎたせいだろうか、大五郎は、彫像の類を見ると手を合わせる癖がついてしまった。
駅前に置いてあるオブジェの類を見ても、目をつぶって手を合わせている姿が、何とも言えない今日この頃である。

<続く>

コンビニ通信vol.21(2012年4月発行)掲載

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