エッセイ

無宿渡世母がゆく 子育てコンビニ編 17

無宿渡世母がゆく 子育てコンビニ編 17のイメージ

2022年5月27日

無宿渡世母がゆく 子育てコンビニ編 17
―大五郎、マニア志向改善作戦―

水無田気流

わが一子大五郎(仮名)、現在5歳9か月。
どんどん趣味がマニアックになってきて、心配でならない。以前は「でんちゃ」一辺倒だったが、次第に乗り物全般、宇宙、昆虫、恐竜、化石……と来て、最近では古生代の生物に目がない。

図書館に行くと、「2憶3千年前の生き物のご本はありますか?」等マニアックなことを尋ねて、図書館司書さんを困らせている。
誰に似たのだろう、うん、私だ。
自慢ではないが、私は自分の趣味のマイナーさ加減にかけては自信がある。思い返せば、私は小学生のころから、友だちの家に遊びに行っても、つい、そのへんに置いてある「国語辞典」や「電話帳」などを読んでしまうような子どもであった(活字中毒だった)。
集団行動が取れず、図書室の隅っこを這いまわるような学生時代を過ごし、大学院では哲学と社会学というおよそ就職に不利な領域の修士号を取得。そのうえ趣味で書いていた詩が、何かの間違いで賞をもらってしまうという、マイナーとマニアがV字編隊を組んで飛び交っているような人生を送ってきた。これではいかん。息子にだけは、日の当たる趣味を身につけてほしい……。

そこで、せめて趣味志向だけでも普通になってほしいと、一生懸命メジャーな絵本を読み聴かせてきたのだが、大五郎は関心を示さない。気がつくと、毎晩図鑑に顔を突っ込んで寝ている。勉強が出来そうなタイプには見えないのに、やたらマニアックな知識だけあるという、嫌なオタク少年になりそうである。

とにかく「お話のご本」を読みなさいと言い続け、ようやく図書館から借りてくるようになったのは「ノンタン」シリーズ。だが、夫はこれが気に入らない。漫画みたいなものだと文句を言われ、大五郎は悔しそうだった。
ある日、「僕、もう年長さんになったから、ノンタンなんか読まないよ!」と宣言し、ドヤ顔で借りてきたのは……「バーバパパ」シリーズ。
おまえの大人の読書は、それか……。

<続く>

 

コンビニ通信vol.27(2013年10月発行)掲載

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