エッセイ

無宿渡世母がゆく 子育てコンビニ編 21

無宿渡世母がゆく 子育てコンビニ編 21のイメージ

2022年5月27日

無宿渡世母がゆく 子育てコンビニ編 21
―大五郎、小学生になる―

水無田気流

 

わが一子大五郎(仮名)、現在6歳8か月。
おかげさまで、今春から小学生になった。黄色い1年生帽子をかぶり、ランドセルを背負った姿に感無量である。ああ、これで毎日のお弁当作り、幼稚園の送り迎えから解放されたのね……と喜んでいたのもつかの間。小学生は小学生で、大変である。
まず、朝が早い。今まで朝7時半くらいに、幼児番組に合わせてのろのろ起きてきた大五郎だが、小学校はそのくらいの時間に家を出なければならない。6時半くらいに起こさないと、実質的に間に合わない。
「眠いんだよ~!」と泣いて暴れる超寝起きの悪い大五郎……。毎朝、気分は猛獣使いである。

それから、通学がまだまだ不安である。当初は毎朝送って行ったが、ゴールデンウィークを過ぎたころ、夫に「そろそろ大五郎を1人で登校させなさい」と言われ、決意。かくして「はじめての1人通学」が始まったが……。
心配で、後ろをつけて見守ることにした。
10メートルほど後ろを、大五郎に見つからないように、ヤツが振り返るたびに電信柱の陰に隠れながらの尾行。さながら気分は、ジェームズ・ボンドかイーサン・ハントである。決して見つかってはならないという、ミッション・インポッシブルを遂行。
だがご通行中のみなさんが、私を不審な目で見るのにいたたまれなくなり、また大五郎が意外にすんなり1人登校できているのを見てひとまず安心し、かくして本ミッションは終了した。

しかし、そこには思わぬ罠が潜んでいた。学校公開日の朝8時15分ころ。そろそろ大五郎は学校についた時間ね~、などと思いつつ学校に向かっていたところ、途中の公園で見慣れた姿が。
何と、大五郎が座り込んでいる!? 具合でも悪くなったのかと思って駆け寄ったところ、
「あまりにもきれいなガラスのかけらを見つけたから……」とのことである。
嗚呼大五郎、それを「道草」と人は呼ぶのだぞ?

前途多難の通学冥府魔道は続く。

<続く>

 

コンビニ通信vol.31(2014年10月発行)掲載

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