エッセイ

無宿渡世母がゆく 子育てコンビニ編 41

無宿渡世母がゆく 子育てコンビニ編  41のイメージ

2022年5月27日

無宿渡世母がゆく 子育てコンビニ編 41
―大五郎、「普通」の生活―

水無田気流

 

わが一子大五郎(仮名)、現在12歳2か月。
男児を育て中の保護者のみなさまに、うかがいたい。学校生活について、女児との情報格差を感じたことはありませんか? 私は、大ありである。
大五郎と同じクラスの女子のお母さんの方が、私よりも大五郎の学校での様子によほど詳しくて、驚愕したこともある。

まあそれはともかく、ヤツは学校生活について、ほぼ話してくれない。
「今日学校はどうだった?」と聞いても「普通」しか言わない。思うに、男子小学生の「普通」の範囲は広い。よほどの天変地異が起こらない限り、彼らの親への報告ワードは「普通」一択なのではあるまいか。

あまりの「普通」連発に嫌気がさし、先日は「どんなに普通の日でも何かあるでしょ?」と言ってみたら、こんなことを言った。
「そうだなあ……。体育の時間にソフトバレーでネットを張ったときに地面に打ち込んだ杭が、なかなか取れなかったんだけどね」
ほう。
「僕が聖剣エクスカリバーみたいだから、引き抜けたヤツをアーサー王って呼ぼうって言ったら、みんな俺が抜く!って頑張ったんだけど、誰も抜けなくて。そこに事務員のおじさんが来て、ひょいって抜いて片づけてくれたから、今日からおじさんのあだ名がアーサー王になった」
……細かすぎる情報だな。
「その後、僕たちの間ではアーサー王になったおじさんが何か気になって、『さっき、アーサー王がスリッパ片づけてたよ』とかいう情報が飛び交うようになったんだけど、多分おじさんはそれを知らない」
……なるほど、小学生相手の仕事だとそんな風に自分のあずかり知らないところで、変なあだ名をつけられていることもあるのか。

それはともかく、お母さんがおまえに聞きたかったのは、どんなお友達とどんなことをやって遊んでいるのかとか、授業でどんなことをやっているのかとか、そんな学校生活の様子だったのだが、話したら鼻下でそんなニッチなネタか、わが子よ……。

<続く>

 

コンビニ通信vol.52(2020年1月発行)掲載

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