エッセイ

無宿渡世母がゆく 子育てコンビニ編 49

無宿渡世母がゆく 子育てコンビニ編  49のイメージ

2022年5月27日

無宿渡世母がゆく 子育てコンビニ編 49
―大五郎、ソロ活男子への道―

水無田気流

 

わが一子大五郎(仮名)、現在14歳6か月。
わが息子ながら、すっかりオタクに育った。まず、中学校から帰ると自室にまっしぐらで机の前に座る。勉強をしているのでは、もちろんない。パソコンをつけて「マインクラフト」をやっているのである。
コロナ禍での緊急事態宣言やまん防法施行下で授業がオンラインになったり、登校しても部活が休止になったりといった日々が続き、すっかり「友達と遊ぶのはもっぱらゲーム世界」になってしまい、Skypeでチャットしながら学校の部活仲間達とひたすらゲームで戦っている。

あるときは大五郎がが負けてぎゃーぎゃー泣いていて、恥ずかしいなあと思ったら、翌日はお友達が負けてSkype越しにあちらが大五郎に負けず劣らず泣いている声が聞こえて来た。
さらに、お友達のご家族(主としてお母様)の声もSkype越しに聞こえてくる。「ご飯よ」とか、「もういい加減に勉強しなさい…」とか。
これは好機!とこちらも大五郎に「もうやめなさい」コールをかけたりしているうちに、先方のお母様とSkype越しにお話をすることも増えた。

さらに、大五郎は某同人シューティングゲームのファンであるため、ネット上のファンコミュニティのSNSに参加するようになってしまった。
こういう場では、ちょっとした感情の行き違いから人間関係がこじれたりしがちでもあるので、トラブルにならないかも心配だ。

あるとき、「見る?」というので、ヤツのSNSでの書き込みを見せてもらった。
すると……ヤツがファンだというユーチューバーに、それはそれは丁寧なきちんとした文体で、そのコンテンツを褒める言葉が並び、先方からも丁寧なリプが帰ってきていた。正直、相手も中学生が書いているとは思わないだろう。
人間としてはまだまだ半人前なのに、オタクとしてだけはすでに一人前になってしまったようだ。

どうしよう。なぜこう育った……。

 

<続く>

コンビニ通信vol.61(2022年4月発行)掲載

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