エッセイ
無宿渡世母がゆく 子育てコンビニ編 52
2023年2月3日
無宿渡世母がゆく 子育てコンビニ編 52
―大五郎、初めての宿泊研修―
水無田気流
わが一子大五郎(仮名)、現在15歳1か月。中学生になって初めて、宿泊研修(※修学旅行のことこう呼んでいます)に行けた。現在通っている中学校は、中学1年生で入学時にオリエンテーション合宿、秋に奈良へ宿泊研修、中学2年生で長野へ農業体験を行う自然教室での合宿、そして中学3年生で長崎・佐賀への宿泊研修……の予定であったのだが、ご存じのように新型コロナウィルス流行のせいで、中学2年生までのすべての宿泊研修は中止となった。本当に、コロナは罪深い感染症である。
今回はどうだろうか……とひやひやしていたのだが、なんとか無事に行ってこれた。保護者会での事前説明では、もし現地でコロナに罹った場合、「飛行機には乗れなくなるので、現地まで保護者の方がお迎えに来ていただいて、新幹線で連れて帰って下さい」と言われ、私は脳内に奉ったアマビエ様に必死に祈った。お願いします、現地でコロナにかかるのだけは何卒お容赦下さい……と。
祈りが通じたのか、大五郎は無事に長崎を巡って楽しんで帰ってきた。お土産用に渡したお小遣いは、ほとんど手つかずだった。「欲しいお土産がなかったの?」「いや、お土産を買うよりも、このお金をアキバか中野ブロードウェイでゲームを買うのに使いたくって……」。もちろん、没収した。さて、ヤツは持たせた学校ジャージも制服のシャツ類も、インナーバックに畳んで詰めたまま持ち帰ってきて、私服のジーパンとTシャツくらいしか洗濯物がなかった。聞けば、自由行動で着た私服のままホテル内でも過ごし寝るときもそのままで、制服行動のときも初日に着ていった制服のポロシャツをもう1度着たのだという。「下着は替えたよ!」とドヤ顔なのだが……信じられないものぐさぶりだ。将来一人暮らしなどした場合、他人が寄りつかない風体にならないだろうか……と、息子の将来がまた心配になる秋であった。
<続く>
コンビニ通信vol.64(2023年1月発行)掲載
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