エッセイ

教えて!伊達さん ~お金にまつわるお話~ 第43回 

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2022年3月30日

教えて!伊達さん ~お金にまつわるお話~ 第43回 <2020年8月号>

◆パートの働き方に影響する年金制度改正法の内容とは

こんにちは、ファイナンシャル・プランナーの伊達です。
子育てコンビニの暮らしのお金に関するこのコラムでは、皆さんの暮らしに役立つ内容をお伝えしていきます。

今年(2020年)の6月5日に年金制度改正法が公布されました。今回の年金制度改正法は、パートで働く人に影響する内容が含まれています。

2016年10月から新しい年金制度が始まり、年収130万円以下の人でも厚生年金に加入するケースが出てきました。今回の改正ではさらに厚生年金の対象になる人が増えると考えられています。

今回は、年金制度改正法のうちパートの働き方に影響する部分について紹介します。

■現在、パートの人が厚生年金に加入するケース

配偶者が会社員または公務員で厚生年金の被加入者になっている場合は、年収130万円以内が扶養に入る目安となっています。

しかし、年収が130万円以下であっても厚生年金に加入し、扶養から外れるケースがあります。そのケースについて順番に確認しましょう。

1つ目は、勤務先が厚生年金の適用事業所であることです。会社などの法人は対象となっており、個人事業主(個人商店)の場合は従業員の人数によって決まります。

2つ目は、働き方です。
まず、一般社員の4分の3以上(週30時間以上)働いている人は厚生年金の対象です。
さらに、それ以外の人でも次の5つの条件に当てはまる場合は厚生年金の対象です。
(1) 週の労働時間が20時間以上
(2) 月額賃金が8万8000円以上(年収換算で106万円以上)
(3) 勤務期間(雇用期間)が1年以上の見込み
(4) 学生でないこと
(5) 勤務先の従業員が500人を超えること(500人以下でも労使合意で適用になる場合がある)

■今回の改正で変わる点

今回の年金制度改正法では、5つの条件が見直され次のようになります。
(1) 週の労働時間が20時間以上
(2) 月額賃金が8万8000円以上(年収換算で106万円以上)
(3) 勤務期間(雇用期間)が2カ月を超える
(4) 学生でないこと
(5) 勤務先の従業員が100人を超えること(2022年10月から)
勤務先の従業員が50人を超えること(2024年10月から)
(50人以下でも労使合意で適用になる場合がある)

変わるのは(3)と(5)ですが、1番大きな変更点は勤務先の従業員数ですね。
2022年10月からは100人超、2024年10月からは50人超と、従業員数の小さい勤務先が対象に加わります。

そのため、勤務先の規模が小さくても厚生年金に加入するケースが増え、いわゆる「106万円の壁」に当てはまる人が増えます。厚生労働省の推計では新たに65万人が厚生年金の対象になると見込まれています。

今後は皆さんの周りでも厚生年金に加入するパートに人が増えてくるでしょう。社会保険料の負担で手取り額が減ることを気にする人もいると思いますが、厚生年金・健康保険に加入するメリットもあります。

パートの働き方を考える上で、現在は年収130万円が目安になっていますが、今後は年収106万円も目安として考えるケースが増えると思われます。ぜひ参考にしてください。

参考:厚生労働省「年金制度改正法(令和2年法律第40号)が成立しました」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000147284_00006.html新しいウィンドウで外部サイトを開きます
※コラムの内容は執筆当時の情報によります。

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