エッセイ
教えて!伊達さん ~お金にまつわるお話~ 第63回
2022年7月22日
教えて!伊達さん ~お金にまつわるお話~ 第63回
◆知っておきたい円安・円高のこと
こんにちは、ファイナンシャル・プランナーの伊達です。
子育てコンビニで暮らしのお金に関するこのコラムでは、皆さんの暮らしに役立つ内容をお伝えしていきます。
最近ニュースなどで円安の話題をよく聞きます。円安になると輸入品の価格が上がるなど、最近は円安というとネガティブな印象がありますが、実際に私たちの生活にどのような影響があるのでしょうか。
今回は、円安・円高の家計への影響を中心に紹介します。
■円安・円高とは
世界にはいろいろな通貨の種類があります。日本では「円」ですが、アメリカでは「ドル」、ヨーロッパでは「ユーロ」、イギリスでは「ポンド」などさまざまです。
外国との間で資金のやり取りをするには、違う種類の通貨と交換する必要があります。これを「外国為替」といいますが、その交換の比率は基本的に変動しています。これを「為替レート」といいます。
為替レートは、2つの種類の通貨ごとに決められます。例えば、円とドル、円とユーロ、ドルとユーロなどです。円安・円高といいますが、実は相手の通貨が必要です。通貨を交換する場合はドルが相手になる場合が多いので、円安・円高は基本的にドルを相手にしていると考えてよいでしょう。
円安(ドル高)は、円とドルを比較して、円の価値が安くなりドルの価値が高くなることです。
例えば、1ドル=100円だったものが、1ドル=130円になると、1ドルと交換するのに100円で済んだものが130円も必要になるのでドルが高くなっています。逆に円は安くなっているので「円安」となります。
逆に円高(ドル安)は、円の価値が高くなりドルの価値が低くなることです。1ドル=100円だったものが、1ドル=80円になると、1ドルの価値が20円分安くなります。逆に円は高くなっているので「円高」となります。
■円安になると輸入品を中心に価格が上がる
円安になると、外国のものを輸入する場合に多くのお金(円)が必要になります。小麦を使ったパンやパスタ、食用油、輸入の肉や魚、ワインなどの食料品だけでなく、外国で生産している洋服や日用品、スマートフォンなども影響があります。
また、原油や天然ガスなども輸入していますので、電気、ガスなどの光熱費、ガソリン料金にも大きな影響があります。多くの品物を輸入に頼っている日本では、円安の影響は生活のさまざまな面に及んでいます。
逆に、お米や野菜など国産のものはそれほど影響していませんが、肥料などは輸入ですので将来に円安の影響が出てくるかもしれません。
その他、最近は外貨建て保険に加入している人も増えていますが、保険料が外貨建てなので円安になると保険料が上がってしまいます。
一方で、日本で製品を作って海外に輸出している企業では円安はメリットです。分かりやすくいうと、海外で製品を売った代金を円に替える時に金額が大きくなるためです。
また、日本に旅行に来る外国人にとっても円安はメリットです。例えば、同じ1000ドルでも、1ドル=100円の時は10万円分しか使えませんが、1ドル=130円なら13万円分も日本で使うことができるからです。
■逆に円高になったら
円高になると、逆のことが起こると考えるとよいでしょう。
輸入品が安くなるので食料品や日用品、光熱費は安くなります。「円高還元セール」などで輸入品が安くなっていたことを覚えている人もいるかもしれません。
また、海外旅行をする時に有利になります。円高ですと多くの外貨に交換することができるので、同じ円の金額を用意しても、海外で多くのお金を使うことができるようになります。
■円安に対応する方法は
日本で暮らす上で円安への対応方法は限られています。
まずは節約です。品物の値段が上がりますので、これまでと同じ金額で買える量が減ってしまいます。同じ量を買うと支出が増えますが、支出を同じに抑えると結果的に買う量が減りますので、これは節約といえるでしょう。
次に収入アップです。簡単にできるものではありませんが、収入を増やすことができれば、影響を少しは抑えることができるでしょう。最近は副業が認められるケースも増えてきていますので、取り組んでいる人もいるかもしれません。
外貨建ての資産を持つ方法もあります。外貨預金や海外資産に投資する投資信託などです。円安になると外貨の価値が増えますので、外貨の一部を売って円に戻すことで対応することもできるでしょう。ただし、該当する資産を持っている場合に限られます。逆に円高になると資産価値が減ってしまいますので注意しましょう。
外国為替の動きは予想が非常に難しいとされています。今は円安ですが、円高になる時期がまた来るかもしれません。円安・円高が私たちの生活にどのような影響があるかぜひ知っておきましょう。
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FPオフィス マネーライフ・ラボ三鷹 代表 伊達寿和
会社員時代にファイナンシャルプランナー(FP)の職業に出会う。
充実した人生を生きるには個人個人がお金に関する知識を持つことが重要と思い資格を取得。その後事務所を開業。
親身なアドバイスと分かりやすい説明を心掛けて、三鷹市を中心に活動中。
CFP(日本FP協会認定)、1級FP技能士、住宅ローンアドバイザー。日本FP協会「くらしとお金のFP相談室」2017年相談員
ホームページ https://mitaka-fp.jp/
※コラムの内容は執筆当時の情報によります。
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