エッセイ
教えて!伊達さん ~お金にまつわるお話~ 第68回
2023年3月6日
教えて!伊達さん ~お金にまつわるお話~ 第68回
◆医療費が10万円以下でも医療費控除が受けられるケースとは
こんにちは、ファイナンシャル・プランナーの伊達です。
子育てコンビニでの暮らしのお金に関するこのコラムでは、皆さんの暮らしに役立つ内容をお伝えします。
確定申告をして税金を還付してもらえるケースはいろいろありますが、よく知られているものに「医療費控除」があります。医療費が10万円以上というのが一般的ですが、収入が少ない場合は10万円以下でも受けられることはご存じでしょうか。
今回は、医療費控除で見落としがちなポイントを紹介します。
■医療費控除とは
医療費控除とは、自分や生計が一緒の配偶者や家族の医療費の1年間(1月1日から12月31日)の合計が、一定額を超えたときに所得控除を受けられる制度です。
医療費控除の対象となるのは、主に以下のものです。
・診療費、治療費(窓口で払った分)
・医師の処方箋で購入した医薬品
・通院や入院のための交通費(電車やバス)
・公共交通機関の利用が難しい場合のタクシー代
通院のための電車・バス代も含められるので、しっかり記録しておきましょう。
■医療費控除の金額の計算方法
医療費控除の金額は次の式で計算されます。
(実際に払った医療費の合計額)-(保険金・高額療養費などの金額)-(*1)
(*1)次の①、②の少ないほう
①10万円
②総所得金額等の5%の金額
例えば、年収700万円の会社員について、1年間に払った医療費の合計が30万円、医療保険の給付金や高額療養費が0円の場合、医療費控除は30万円-0円-10万円=20万円となります。
■10万円以下でも医療費控除が受けられるケースとは
医療費控除の10万円は総所得金額等が200万円以上の人の場合です。なお、総所得金額等とは、簡単に言うと給与や事業、不動産などの所得(収入から必要経費を引いたもの)の合計のことです。
収入が少ない人は、医療費が10万円以下でも医療費控除が受けられる場合があります。
例えば、年収120万円の給料(他に収入はないとする)の場合は、給与所得が65万円で、総所得金額等も65万円となります。総所得金額等の5%は32,500円ですので、医療費控除が受けられるハードルがグッと下がりますね。
この例では、医療保険の給付金などがないとすると、払った医療費が32,500円以上であれば、医療費控除が受けられます。他の控除なども考慮する必要がありますが、確定申告をすると所得税が還付される可能性があります。
また、年収200万円の人の場合は、給与所得が132万円、総所得金額等も132万円とすると、総所得金額等の5%は66,000円です。同様に医療費が10万円より少なくても医療費控除が受けられます。
■医療費控除を受けるには確定申告をしよう
医療費控除を受けるには原則として確定申告が必要です。
ただし、勤務先で年末調整を受けるなど確定申告の義務がない人は、確定申告以外の期間でも申告ができます(還付申告といいます)。1月1日から5年の間に手続きをすればよく、過去5年分遡って申告することもできます。
住んでいる地域の税務署に行って確定申告書を作成する方法や、自宅のPCやスマホで作成して印刷した確定申告を郵送する方法があります。マイナンバーカードを作成している場合は、PCやスマホで入力して、e-Taxで申告することもできます。
医療費控除を受ける場合、明細書を作成しますが、領収証の添付は不要です。ただし、領収証は自宅で5年間保存する必要があります(税務署から問い合わせがあった場合に備えて)。領収証がない場合は再発行してもらうなどしましょう。
医療費控除、知らなかったらもったいないですね。パートなので収入は多くないけどという人は、今一度、収入と医療費を確認してはいかがでしょうか。
給与明細の源泉徴収票、医療費の金額をまとめたものがあれば、国税庁の確定申告等作成コーナーで確定申告書を試しに作ってみて、還付が受けられるか確認することもできます。
税金に関する詳しいことは、最寄りの税務署や税理士にご相談ください。
参考にしていただければ幸いです。
参考
国税庁 No.1120 医療費を支払ったとき(医療費控除)
国税庁 No.1128 医療費控除の対象となる歯の治療費の具体例
国税庁 No.2030 還付申告
---------------------------------
FPオフィス マネーライフ・ラボ三鷹 代表 伊達寿和
会社員時代にファイナンシャルプランナー(FP)の職業に出会う。
充実した人生を生きるには個人個人がお金に関する知識を持つことが重要と思い資格を取得。その後事務所を開業。
親身なアドバイスと分かりやすい説明を心掛けて、三鷹市を中心に活動中。
CFP(日本FP協会認定)、1級FP技能士、住宅ローンアドバイザー。日本FP協会「くらしとお金のFP相談室」2017年相談員
ホームページ https://mitaka-fp.jp/
※コラムの内容は執筆当時の情報によります。
カテゴリー
タグ
- ポイ活
- ポイント
- やりくり
- 学費
- 住宅費
- ペイオフ
- 贈与
- 還付申告
- 確定申告
- 扶養の範囲内で働く
- ふるさと納税
- 育業
- 産後パパ育休
- 育児休業と産後パパ育休とは別
- パート
- 扶養範囲
- パートの働き方
- コンビニ通信
- 大五郎
- 節約
- 住宅ローン控除
- 自転車保険
- 積み立てNISA
- 大学費用
- クレジットカード
- 単利と複利
- 所得税
- 遺族年金
- パートと年金
- 家計
- 特別定額給付金
- 家計見直し
- 就学支援制度
- 家計の見直し
- 年末©調整
- 消費税
- 老後資金
- 老後
- 公的年金
- 扶養
- キャッシュレス決裁
- お年玉
- 配偶者控除
- 配偶者特別控除
- 家計管理
- 奨学金
- 教育費準備
- 学資保険
- 学資保険メリットデメリット
- 子どもの教育費準備
- 教育資金
- 医療費控除
- 私立
- 私学
- 子どもの教育資金
- 私立高校
- 公立
- 子どものおこづかい
- おこづかい
- 子どもの教育費
- 幼稚園
- 私学学費
- 子どもの大学費用
- 学習費調査
- 子育て
- お金の話
- 教育費
- 児童手当
- 106万円の壁
- 103万円の壁
- 130万円の壁
- 三鷹
- 財形
- 貯蓄
- 財形貯蓄
- 火災保険
- 個人賠償責任特約
- 伊達さん
- お金のお話
- ファイナンシャルプランナー
- 水無田気流,子育てコンビニ通信
- 子育てコンビニ通信
- 水無田気流