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教えて!伊達さん ~お金にまつわるお話~ 第83回

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2025年9月18日

教えて!伊達さん ~お金にまつわるお話~ 第83回

◆2025年から扶養控除はどのように変わるのか?変更点を確認

こんにちは、ファイナンシャル・プランナーの伊達です。
子育てコンビニでの暮らしのお金に関するこのコラムでは、皆さんの暮らしに役立つ内容をお伝えしています。

2025年の税制改正で扶養控除についても改正がありました。

これまでは、大学生がアルバイトで働く場合に年収103万円を超えると、親が扶養控除を受けられなくなり、家庭の手取りが減る制度になっていました。そのため、大学生のアルバイトで時間調整をする状況がありました。

人手不足の状況で無視できない影響があり、基礎控除の見直しとあわせて扶養控除についても改正が行われました。今回は、扶養控除の概要と変更点について紹介します。

■扶養控除とは

所得税や住民税の税額を計算するときに、納税者の生活の状況に合わせて、所得から一定の金額を差し引く所得控除という制度があります。所得控除のうち、扶養している親族(配偶者を除く)の年齢や人数に応じた控除を受けられるものを扶養控除といいます。

所得控除が受けられると、控除の金額の分だけ税額計算をするときの所得が少なくなるので、結果として所得税と住民税の税額も少なくなります。

■扶養控除の対象になる人

扶養控除の対象になる人は、次の4つの条件すべてに当てはまる、16歳以上(その年の12月31日時点の年齢)の人です。

(1)配偶者以外の親族(6親等以内の血族と3親等以内の姻族)、養育・養護を委託された児童や老人
(2)納税者と生計を一にしていること
(3)年間の合計所得金額が58万円以下
(4)青色申告者の事業専従者として給与の支払いを受けていないこと、白色事業者の事業専従者でないこと

今回の改正で基礎控除が10万円増えたので(3)の合計所得金額も58万円以下になりました。

■扶養控除の金額

受けられる扶養控除の金額は、扶養親族の12月31日時点の年齢によって異なります。

・16歳未満:対象外
・16歳以上19歳未満:所得税38万円、住民税33万円
・19歳以上23歳未満(特定扶養親族):所得税63万円、住民税45万円
・23歳以上70歳未満:所得税38万円、住民税33万円
・70歳以上(老人扶養親族):所得税48万円、住民税38万円
(同居の場合は、所得税58万円、住民税45万円)

1人あたりの金額ですので、複数人いる場合はそれぞれの合計となります。

■特定親族特別控除の新設

生計を一にする19歳以上23歳未満の親族(※1)で合計所得金額が58万超123万円以下の人がいる場合は、新たに特定親族特別控除を受けることができます。
(※1)配偶者、青色事業専従者として給与の支払いを受ける人、白色専従事業者を除く

特定親族特別控除額は、特定親族の合計所得金額によって決まります。

特定親族の合計所得金額が85万円以下(収入が給与だけの場合150万円以下)であれば63万円の控除額です。合計所得金額が増えるにつれ、受けられる控除額が少しずつ減少し、合計所得金額が123万円(収入が給与だけの場合188万円)を超えるとこの控除は受けられなくなります。

■「130万円の壁」にも注意

大学生のアルバイトであっても、社会保険(厚生年金や健康保険)に関する130万円の壁は存在します。社会保険料を負担するのは原則本人ですので、注意点として子どもに伝えておきましょう。

一方、年収106万円の壁については学生は対象になりません(ただし、夜間の学生は対象になります)。

■(参考)特定親族特別控除額

特定親族の合計所得金額:特定親族特別控除額
58万円超85万円以下 :63万円
85万円超90万円以下:61万円
90万円超95万円以下:51万円
95万円超100万円以下:41万円
100万円超105万円以下:31万円
105万円超110万円以下:21万円
110万円超115万円以下:11万円
115万円超120万円以下:6万円
120万円超123万円以下:3万円

今回の税制改正により、子ども(19歳以上23歳未満)のアルバイト等の給与収入が150万円までは、親は63万円の控除を受けることができるようになりました。また、控除額は少なくなるものの給与収入が188万円までは親は控除を受けることができます。

結果として103万円を意識してアルバイトを控える必要はなくなったといえます。ただし、130万円を超えると社会保険料の負担が発生する点に注意しましょう。

ぜひ参考にしてください。それではまた。

出所:
国税庁 令和7年度税制改正による所得税の基礎控除の見直し等について

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FPオフィス マネーライフ・ラボ三鷹 代表 伊達寿和

会社員時代にファイナンシャルプランナー(FP)の職業に出会う。
充実した人生を生きるには各人がお金に関する知識を持つことが重要と思い資格を取得し、その後事務所を開業。
三鷹市を中心に活動し、親身なアドバイスと分かりやすい説明を心掛けている。
CFP(日本FP協会認定)、1級FP技能士、住宅ローンアドバイザー。日本FP協会「くらしとお金のFP相談室」2017年相談員

ホームページ https://mitaka-fp.jp/

 

 

※コラムの内容は執筆当時の情報によります。

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