エッセイ

無宿渡世母がゆく 子育てコンビニ編 22

無宿渡世母がゆく 子育てコンビニ編 22のイメージ

2022年5月27日

無宿渡世母がゆく 子育てコンビニ編 22
―大五郎、初めての自由研究―

水無田気流

 

わが一子大五郎(仮名)、現在6歳11か月。
今年から小学生になって、何もかもが初めてづくし。そして、待望の夏休みがやってきた。夏休みには何がしたい? と尋ねると、目をキラキラさせて「朝寝て、遊んで昼寝して、夜寝るまで遊びたい!」と抱負を語る大五郎。
……うん、でもその次にやりたいことは? 今年年の夏休みは宿題もあるし、「自由研究」もやらなくちゃね。と言うと、
「僕ねえ、アンモナイトについて調べたい!」と言う。

大五郎は、古生代の生物および絶滅マニアである。中でも最近のマイブームはアンモナイト。ご存知、巻貝の様な形状の古生代ナントカ紀から中生代ナントカ紀まで3億年以上繁栄した、ナントカ類の一種である。ナントカ部分は、何度大五郎に説明されても私が覚えられないのでこの記述である、ごめんなさい。大五郎は秩父にある2憶5千万年前の地層を見て、埼玉県立自然の博物館にも行きたいと言う。その口調が極度にオタクっぽいのに震撼を覚えながら、秩父へ。

帰宅後、勉強机の前に座って真剣にノートをまとめているので安心していたら、急にごそごそ妙な動きを見せた。
問いただすと……久しぶりのお漏らし。「アンモナイトの絶滅仮説を考えてたら、夢中になっちゃっておしっこスイッチが入ったのに気がつかなかったんだよ!」と言う。
今年の大河ドラマ『軍師官兵衛』で、幼少期の官兵衛が戦略について語り合っていて漏らしてしまう描写を見て、テレビって大げさだな、あり得ないよなあと思っていたが……まさか、愚息が体現するとは。
その後も大五郎が行きたがる上野の科学博物館や伊豆アンモナイト博物館等を回り、汚い字で書かれた「アンモナイトのぜつめつかせつ」は完成した。
よかったね、と言うと、大五郎は笑顔で「僕ねえ、来年は変態について研究したい!」と言う。

その後昆虫の完全変態・不完全変態・無変態について語ってくれたが……、
それは名称的にやめてくれたら嬉しいぞ、わが子よ……。

<続く>

コンビニ通信vol.32(2015年1月発行)掲載

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