エッセイ

無宿渡世母がゆく 子育てコンビニ編 25

無宿渡世母がゆく 子育てコンビニ編  25のイメージ

2022年5月27日

無宿渡世母がゆく 子育てコンビニ編 25
―大五郎、陽の当たらない街道をまっしぐら!?―

水無田気流

 

わが一子大五郎(仮名)、現在7歳8か月。
オタク道まっしぐらである……。幼児の頃から、夫が理事を務めるローカル鉄道振興社団法人のイベントなどに連れて行き、濃い目の鉄道マニアのみなさまから、キハだのモハだのクモハだのを聞かされて育ったのが、そもそもの原因だったのかもしれない。
「パパ」「ママ」の次に発した単語は「でんちゃ」であったし、電車と聞くと喜びのあまり、「でんちゃん♪ でんちゃん♪」と謳いながらでんちゃ踊りを披露するような1歳児だった……。

今では、古生代の生物と恐竜と宇宙が大好きな小学生である。しかも、私が廃人レベルのゲーマーであることが災いしたのか、大五郎がゲーム好きになってしまい、本当に後悔している。私はゲームの評論を書いたり、ゲームクリエイターさんと一緒にイベントに出演したり、ゲーム会社の忘年会に呼ばれたりするような人間なので、子どもに「ゲームばかりしないで勉強しなさい!」と言っても、何の説得力もないのもまずかった。

大五郎の目下のマイブームは「Minecraft」(マインクラフト、通称マイクラ)である。
ブロック体でできた世界で、プレイヤーは建物を建てたり、食料を得たり、ときに敵に襲われながらサバイバルしていくゲームなのだが、自由度がかなり高く、やり込むとキリがない。中でも、大五郎は「考古学Mod」が使いたいという。恐竜が出てきて楽しいのだと、目を輝かせて語るのである。
なぜそんなことを知っているのかと思ったら、YouTubeを検索して、自作のマイクラを実況中継しているオタクな人の動画を見たそうなのである。最近、その実況中継の口調を真似るので、オタクっぽさに拍車がかかってきた。
先日は、バスで乗り合わせた高校生のお兄さん達がマイクラの話をしていたのに目を輝かせて会話に入り込み、しかも盛り上がっていた……。

このままオタク道を突き進むのか、わが子よ。
何かの間違いで、もう少し爽やかで陽の当たる方向に路線変更できないものか、大五郎……!

<続く>

 

コンビニ通信vol.35(2015年10月発行)掲載

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