エッセイ

無宿渡世母がゆく 子育てコンビニ編 39

無宿渡世母がゆく 子育てコンビニ編  39のイメージ

2022年5月27日

無宿渡世母がゆく 子育てコンビニ編 39
―大五郎、自然教室の顛末ー―

水無田気流

 

わが一子大五郎(仮名)、現在11歳8か月。
三鷹市立小学校の6生最大の年間行事、「自然教室」に行った。……大変だった。
長野県の高原地でハイキングやアドベンチャーラリー、秘密基地づくりなどのさまざまなアクティビティーがぎっしり書かれたスケジュール表を見て、落ち着きのないわが子の怪我や行方不明を心配したのは、言うまでもない。
当日はリュックと大きめのスポーツバッグいっぱいの荷物を途中まで持ってあげたが、お友達を見かけて喜び、「お〜い!」と追いかけ、母に見向きもせず「行って来ます」も言わずに駆けて行ってしまった。

その日の夜、帰宅したら留守電が点灯している……!? もしや、大五郎が怪我をしたか、させたか、あるいはどこかに逃亡か(汗)? と思い再生したら、東京ガスの営業だった。速効で消した。

さて、果たして3日後。帰宅した大五郎のバッグには、あれほど洗濯物をいれよと指示した袋ではなく、ドロドロの洗濯物がそのままあふれんばかりに、そのまま詰められていた。
洗って干そうとしたら、見慣れぬ服が……。同室のお友達のものを間違って持ち帰ったらしい。

一番の思い出は、肝試しのナイトハイキングだったそうである。途中、恐すぎてリタイヤしたお友達が出たそうだが、「僕は全然恐くなかったよ!」とドヤ顔である。
そういえば、夫の勤務先の大学の学祭名物・お化け屋敷が気に入って、何度もリピートしているうちに、平気になったのだった。
幼稚園児のころ、学会で倉敷に連れて行ったとき「桃太郎のからくり博物館」で鬼ヶ島のアトラクションすら恐くて入れなかったおまえが……成長したものだ。

でもできれば、「洗濯物をきちんと整理する」とか、「野菜を食べる」とか(毎食ついてきたサラダのにんじんドレッシングが、食べられなかったらしい)、そういう方面こそ、成長して欲しかったなあ……と思う、母心であった。

<続く>

 

コンビニ通信vol.50(2019年7月発行)掲載

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