エッセイ

無宿渡世母がゆく 子育てコンビニ編 40

無宿渡世母がゆく 子育てコンビニ編  40のイメージ

2022年5月27日

無宿渡世母がゆく 子育てコンビニ編 40
―大五郎、まんが道をゆく―

水無田気流

 

わが一子大五郎(仮名)、現在11歳11か月。
小学生あるあるだが、漫画大好き少年に育ってしまった……。授業中もろくに先生の話を聴かず、漫画ばかり描いているらしい。
担任の先生は、ついにあきらめたのか大五郎にクラスの「漫画係」を任命。B4版ノートをくれて、クラスのみんなで読める学級漫画を描かせることにしたという。もう1人の漫画係と共作で描いている

「がんばれ!都道府県」という漫画を見せてもらったら、各都道府県がその「形」で武器になって戦うという話で、たとえば滋賀県は中央の琵琶湖部分が穴になって、滋賀県を手にしたキャラはそこに手を突っ込んで、ぐるぐる回しながら手裏剣のように飛ばして攻撃したりしている。
青森県はカギ状のかたちが相手を引っかけ、陰惨な武器に。
「県のかたちを覚えるのが苦手な子にも、役立つはず」とヤツはドヤ顔だが、ちょっとバイオレンスすぎるのでは……。

今漫画作品でヤツがはまっているのは、『週刊少年ジャンプ』連載の「鬼滅の刃」である。架空大正時代を舞台に、人間を食らう異形の鬼と戦う少年達の物語なのだが、「主人公がとても真面目で努力家」「一緒に戦う仲間のキャラが魅力的で、彼らとの友情が厚く最終的には力を合わせて敵を倒す」という、週ジャン伝統の「友情・努力・勝利」が盛り込まれた話なのだが、毎回いいところで寸止め終了次回読んでね、の手法に完全にやられてしまっている……。

先日は、「最新話チェックのため、毎週月曜は『週刊少年ジャンプ』立ち読み」という、古典的なまでに男子小学生らしい理由で、大五郎は寄り道して帰宅が遅くなっていたことが発覚した。
まっすぐ帰宅するよう言葉を尽くしたがさっぱり効かない。どうしよう。いろいろ試した結果、結局『ジャンプ買ってあるよ』が一番効くと言う結論になった。もちろん、買っておかねばならない。

何か……いろいろと、負けた気がする。

<続く>

コンビニ通信vol.51(2019年10月発行)掲載

 

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