エッセイ

無宿渡世母がゆく 子育てコンビニ編 42

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2022年5月27日

無宿渡世母がゆく 子育てコンビニ編 42
―大五郎、『カラアニ』読書記―

水無田気流

 

わが一子大五郎(仮名)、現在12歳6か月。
小学6年生の3月。もうすぐ卒業式である。卒業式に向け、「6年生を送る会」司会を引き受け、代表委員会でもあるので、いろいろと忙しい時期に入った、はずであった。だが、みなさまもご存じの通り、例の新型コロナウィルスへの対策で全国の小中高校は休校。三鷹市の公立小学校に通う大五郎も、急に学校がお休みになってしまった。おかげで送る会も何もかもが中止である。

幸いわが家は夫も私も大学教員で、基本的に今時期大学は春休み期間だ。細かな会議などはあるものの、お互いに調整すればなんとかなるので、どちらかは確実に自宅にいる状態である。ただ大五郎の方は、お友達の家に行くのも何だか憚られる状況で、スイミングスクールもお休みになってしまい、ひたすら家にいる。
せっかくだから何かやろうという話になり、『カラアニが読みたい』と言い出した。……何それ?『「カラマーゾフの兄弟」の略だよ!ものすごく難しいって聞いたから、一回読んでみたいと思ってたんだ!』。

そんな訳で、新潮文庫上中下巻版を買ってあげたところ、一生懸命線を引いて、ついでに「カラ兄ノート」を作って人物相関図やストーリーをメモしながら、現在格闘中である。
読みながら「<私生児>って何?」等、質問に来るのはヤツが今まで読んできた児童文学の類では使われていなかった言葉ばかり。勉強のためにも自分で辞書を引くように言ったところ、素直に本文横にメモを書きながら読んでいる……のはいいのだが、改めてドストエフスキー作品はヤバい。
R18までは行かないが、映画やゲームなら暴力や性愛関連描写は、R15くらいは指定されそうである。

小学6年生に読ませていいのか、ロシア文学!? いや、たいていの世界文学の名作はR指定になってしまうだろうが……まあ、それが文学だし、人生だ。うん。

<続く>

 

コンビニ通信vol.42(2020年4月発行)掲載

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