エッセイ
無宿渡世母がゆく 子育てコンビニ編 46
         2022年5月27日
無宿渡世母がゆく 子育てコンビニ編 46
―大五郎、登校の風景―
水無田気流
わが一子大五郎(仮名)、現在13歳5か月。
もうすぐ中学1年生も終わりになる。私たちは手狭になったマンションから、もう少しだけ広い家に転居した。子ども部屋を作ってあげたかったのが大きい。住み慣れた4階の部屋からは遊歩道が見え、大五郎が小学校に登校するときは毎朝ベランダから見送っていた。
大五郎は必ず遊歩道の途中、私の視界の真ん中くらいの場所で立ち止まり、くるっとこちらを振り向いて笑顔でぶんぶん手を振って、それからまた踵を返して走って行く。遊歩道の両脇には桜が植えてあり、春は満開の桜の下を、夏は青葉の繁る下を、秋は黄色から紅色に色づく葉の下を、そして冬は葉が落ちて枝の間を他の季節よりも長くヤツのランドセルの後ろ姿を見送っていた。
駆けていく大五郎の後ろ姿が、大好きだった。
昨年3月、緊急事態宣言でその風景が急に終わった。桜が咲く前である。もう少しだけ、眺めていたかった。できれば桜の下をすいすい駆け抜けていくランドセルを、もう少しだけ見届けたかった。
子どもは育つ。登校の風景も、いつかは終わる。終わるものは、すべて愛おしい。人の記憶は、時間の塊である。
大五郎は今、詰め襟を着て中学校に通っている。スマホを持たせるようになったので、慣れない住所から新しい最寄り駅に向かう大五郎を、夫と2人でGPS機能で見守っている。とんでもない方向に歩いて行ったりするのを、はらはら見ている。
学校が終わると、いつも私に電話をくれる。たいてい、後ろから友達の笑い声や歌い声がにぎやかに聞こえてくる。それからしばらくすると、詰め襟が帰ってくる。この風景も、やがて終わるのだろう。
だから毎朝、家族の見送りだけはするようにしている。
どんなに仕事が切羽詰まっていても、このエッセイの締切も大幅に遅れたりしているが(ごめんなさい)、 家にいられる限りは必ず。
<続く>
コンビニ通信vol.57(2021年4月発行)掲載
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