エッセイ

無宿渡世母がゆく 子育てコンビニ編 51

無宿渡世母がゆく 子育てコンビニ編  51のイメージ

2022年10月22日

無宿渡世母がゆく 子育てコンビニ編 51

―大五郎、エヴァの呪縛に想う―

水無田気流

 

わが一子大五郎(仮名)、現在15歳0か月。15歳の誕生日、私は「これで君もついに、年少人口から生産年齢人口になったね、おめでとう!」と言ったところ、「……嫌な祝い方だな。俺はちょっと憂鬱だよ」と言う。さらに「この歳まで生きていると、本当にいろいろあるよな」と言うので、齢15歳にしてすでにいろいろあるのか……と思ったが、ヤツは言った「あーあ、俺もついに、エヴァのシンジ君の歳を抜いちゃったのかな、と思うと……」と。……おまえの人生いろいろポイントは、そこなのか。

「最初になんか寂しかったのは、しんちゃん(春日部市在住の幼稚園児ですね)の歳を抜いて、のび太(青い猫型ロボットと同居する10歳児ですね)の歳を抜いて、景太君(ともだち妖怪を扱う11歳児ですね)の歳を抜いて、ついにシンジ君もか…」と大五郎。「15歳ってガンダムには乗るし(ファーストガンダムのパイロットですね)、孔子なら学に志してるし。こう……、派手だよな!俺、毎日中学校に行ってるだけだよ!」。

そういえば、私が最初に漫画のキャラの年齢を抜いて感慨深かったのは、小中学生の頃夢中で読んでいた『ガラスの仮面』の北島マヤだった。長期休載を経て、今マヤの年齢は(漫画界の時空の歪みの恩恵で)まだ21歳くらいのはずだが、少し計算してみよう。連載開始時の1976年に13歳だったので、その時点では1963年生まれのはず。ということは、今マヤは59歳。紫の薔薇の人こと速水真澄はマヤの11歳年長設定だから、70歳か。……まあことほど左様に、大抵の読者は長期連載漫画のキャラより年長になってしまってもしかたあるまい。仮にヱヴァンゲリヲン新劇場版のように、北島マヤが「紅天女の呪縛」を解かれて着実に年齢を重ね、この「実年齢」になったらどうだろう。……どなたか画力のある方が、描いてみてはいただけないだろうか。恐いけど、読んでみたい。

<続く>

コンビニ通信vol.63(2022年10月発行)掲載

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