エッセイ
無宿渡世母がゆく 子育てコンビニ編 63
2025年11月29日
無宿渡世母がゆく 子育てコンビニ編 63
―大五郎編、完結―
水無田気流
わが一子大五郎(仮名)、現在17歳。この子育てエッセイは、もともと0歳児のときに『読売ウィークリー』で連載を開始し、同誌休刊に伴い「コンビニ通信」に続きを書かせていただこう、と気楽に始めたものだった。本誌連載開始時、大五郎は1歳。三鷹駅前の、のびのび広場に預けた時の話などを書いていた。本当に、いろんなことがあった。本連載中に幼児園に通い、小学校に通い、中学校に通い、今では高校に通っている。この夏は、ロンドンへ短期留学に行ってきた。ホームステイして、毎朝早くからスタディセンターに通って語学研修、その後は大英博物館やグリニッジ天文台、それに邦人企業のロンドン支社に見学に行ったりと、かなり過密スケジュールだったそうだが、本人「とても楽しかった」とのこと。一番面白かったのが国立海洋博物館で、船舶オタクのため大はしゃぎして、一緒に見学していた生徒のみなさんにドン引きされていたらしい。ちなみに展示物について細かく説明してくれたのだが、細かすぎて私はまったく覚えられなかった……。
ホストファミリーは保育士を引退した年配の女性で、毎朝たっぷりの本格的イングリッシュブレックファストと紅茶をふるまってくださったらしいが、「さすがに米が食べたくなった」そうで、帰国後は「カツ丼!お寿司!豚骨ラーメン!」と、好きなものを要求し続けている。憧れのロンドンは、「建築物は本当に素晴らしかったけど、道路はガタガタ、トラファルガー広場のトイレは半分くらい壊れていて、ネルソン提督が泣くよ…」とのこと。
アジア人差別のような目にはまったく遭わず、道を聞いても親切に教えていただいたりと、全般的に「余裕を感じた」とのこと。改めて日本で今外国人政策が争点になっていることなどについて考えさせられたそうである。「神がいたとして、人種や宗教をたくさん作るのは、そりゃあガチャポンの景品の種類を増やすみたいな物だから分かるのだけれど、それをお互いに許容できない精神を作ったのは悪魔的所業ではないか…」と。それはとても難しくてとても重要な問いなので、ずっと問い続けてほしいと思う。
改めて、この子はもうすぐ法的にも大人になる。親からすればまだまだ心配だらけだが、本連載の「大五郎編」は今回にてひとまず終了とさせていただきたいと思う。これまでご笑覧いただきましたみなさまには、本当にありがとうございました。次回からは、私の身辺雑記エッセイとして新たに開始させていただく予定のため、どうぞよろしくお願いいたします。
<完>
コンビニ通信vol.75(2025年10月発行)掲載
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