エッセイ

無宿渡世母がゆく 子育てコンビニ編 7

無宿渡世母がゆく 子育てコンビニ編 7のイメージ

2022年5月27日

無宿渡世母がゆく 子育てコンビニ編 7
―大五郎、図書館の暴れん坊将軍―

水無田気流

 

わが一子大五郎(仮名)、現在2歳11か月。
日々、三鷹市内を元気に爆走中。

先日は、西部図書館の絵本コーナーのテーブルについて絵本を読ませていたところ、かわいらしい女の子が大五郎の横に座った、大五郎より1つか2つ年上だろうか。お利口さんに絵本を読んでいる。
対する大五郎、がーっと絵本をめくって、でたらめに絵本を速読(?)し、次から次へと絵本をもってくる。その様子がすさまじく、女の子はびっくりして見ている。
そのうち、大五郎が彼女に気がついた。そして、開口一番「ちゅーおんせん、のった?」。

解説しよう。大五郎は最近「こんにちは」の代わりにこれを聞く。「乗ったよ」と言われると、満足げにうなずくのである。ただ、相手が大人の場合は対応してくださるのだが、子どもの場合には引かれてしまう。彼女も「何言ってるの!?」というかんじである。

大五郎、鉄道オタクもたいがいにしろ……。

その後、三鷹図書館本館へ。困ったことに、2階の資料室には1階フロアのベビーカーがもちこめない。そこで大五郎の手を引き、おとなしくするよう言い聞かせて机の前に座った。
だが、大五郎は「おとなちくすゆ!」と言った10秒後、どたどたと走り出す。
大五郎を捕獲して席に、また言い聞かせ、大五郎はうなずき、10秒後……以下、繰り返ス。

何度か格闘し、ようやくおとなしくなってくれたと思い資料を読んでいたら、大五郎は大声で言った。「うんちーといれー!」……。

解説しよう。大五郎は、トイレトレーニング中。「うんちはトイレでしょう!?」と親が言い続けていたところ、「うんちーといれー」と口では言うようになった。
だが、いまだ事後報告である。トイレに行き、オムツを取り換え、やれやれと思って席についたら、またしても「うんちーといれー!」再度トイレへ。またしても事後報告。

ようやくすっきりした大五郎が、おとなしく席についてくれた瞬間、無常にも閉館の音楽が流れだした。
こうして本日も、作業が進まない……。

<続く>

 

コンビニ通信vol.17(2011年4月発行)掲載

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