エッセイ

無宿渡世母がゆく 子育てコンビニ編 44

無宿渡世母がゆく 子育てコンビニ編  44のイメージ

2022年5月27日

無宿渡世母がゆく 子育てコンビニ編 44
―大五郎、中学生生活ようやく開始―

水無田気流

 

わが一子大五郎(仮名)、現在12歳11か月。
中学校が二学期に入り、ようやく分散登校から通常の学校生活が開始した。
今のヤツの関心は、部活動をどれにするか。コンピューター研究部に入るか、理科部に入るかで激しく悩んでいる。うん。運動部という選択肢は……、なかったんだね、やっぱり。

進学したのは私立の中高一貫男子校である。この学校の学習発表会を見学に行ったとき、ヤツは延々と上述の文化部の先輩達と何やら楽しそうに話していた。まあ、楽しそうだけど……、偏差値的には遙かに遠いからなあ。ここは現実的には受けられないよなあ……と思っていたが、大五郎はオタクな先輩達とあまりにも話が合ってしまい、そして「おまえ、この学校向いてるから受けてみろよ!」と言われ、どうしても受けたくなってしまったと言う。そしてまあ、その後いろいろあったのだが、ヤツにしてはものすごい頑張りを見せて、合格してしまった。びっくりした。

それはいいのだが……、せっかく中学生になったのにヤツの性格は変わらない。むしろ似たようなオタク男子の友達が大量にできてすっかり調子に乗り、ヤツの変人ぶりに磨きがかかってしまった。

そして、服のポケットにティッシュやお菓子袋を入れたまま洗濯機に放り込むのも、何度注意しても直らない。洗濯前チェックで、先日はズボンのポケットが貼り付いていてびっくりしたが、正体は「ケースから出したスティック糊」をポケットに入れていたせいだった。なぜケースから出したのか、そしてポケットに入れたのか尋ねたが「何となく」しか言わない。
今までで一番悲惨なポケット異物混入事件は、幼稚園のころの「蝉の抜け殻(複数)」だった。洗濯機の中が、阿鼻叫喚地獄になっていた。

あのころから口を酸っぱくして注意しているが、直らない。一生直らなかったら、どうしよう……。

<続く>

 

コンビニ通信vol.55(2020年10月発行)掲載

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