エッセイ

無宿渡世母がゆく 子育てコンビニ編 45

無宿渡世母がゆく 子育てコンビニ編  45のイメージ

2022年5月27日

無宿渡世母がゆく 子育てコンビニ編 45
―大五郎、中学生になっても意外に成長ってしない問題―

水無田気流

わが一子大五郎(仮名)、現在13歳2か月。
中学1年生も後半になった。私には、かつて夢があった。小学生のころは、何でもポケットに詰め込んでゴミためのようにしていたが、中学生になるころには改善されると信じていた。そして、その夢は打ち砕かれた。
電車通学になったため、ヤツは毎日コンビニなどで、嬉々として買い食いをして来るようになった。お友達とファストフードで買い食いをして、だべって帰ってくるようにもなった。そして、ポケットにはそれらのゴミが満載で帰ってくるようになった。
お菓子の包装紙などはかわいいもので、アメリカンドッグやからあげの棒串が入っていることもある。なぜだ。なぜゴミをゴミ箱に捨てず、すべてをポケットに突っ込む……!?

部活は、理科部とコンピュータ研究部に兼部となった。理科部は課外活動が多く、先日は大井ふ頭海浜公園まで潮干狩りに行った。理科部の水槽で飼う水棲動物を捕獲するためらしい。
部員5〜6名の有志で「蟹を100匹くらい捕った」そうで、そのうち大きいのを10匹ほど選別して残りは放したという。よく見ると、目の下にうっすら傷ができていた。
「気にするな。1匹、手強いヤツがいた。名誉の負傷だ」と言う。
さらに別の日は制服を泥だらけにして帰って来た。理科部の畑で育てたジャガイモを、収穫したという。……それは、ジャージなどに着替えてやるべき作業なんじゃないのかな。

それにしても、かつて考えた「さすがに、中学生になったらしっかりして来るはず」との希望はもはや潰えた。

昨日は、制服のポケットから、大量のゴミと一緒に英語のスピーチコンテスト参加者用の要項プリントが出てきた。ヤツはコンテストに出場を申し込んだらしい。

やる気は素晴らしいが、書類の管理は最悪である。
頼む、ゴミと重要書類の分類は覚えてくれ、と願わずにはいられない。

<続く>

 

コンビニ通信vol.56(2021年1月発行)掲載

 

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