三鷹駅中央通で開業していらっしゃるつちや小児科院長 土屋正巳先生から 子どもの家庭内事故についてお話をうかがってきました! |
子どもの事故の件数はやっぱり多いんですか? | |
0歳の赤ちゃんの死亡は、その殆どが病気か先天的な原因によるものですが、1歳をすぎるとその死亡原因の1/4は不慮の事故となります。ですから、事故に対する予防の知識を持ち、実行することがとても大切になっています。 |
月齢・発達程度によって子どもがあいやすい家庭内事故の違いはありますか? | |
『海外での子どもの事故防止と救急救命』という本にわかりやすくまとめられているんですよ。 | |
あ、本当にわかりやすいですね!これを参考にして「家庭内で事故がおこりうる場所と最もおこりやすい時期」と「家庭内で気をつけなければならないこと」についてちょっとまとめてみます。(コチラをクリック!) |
頭を打ったら・・・ | |
病院にすぐ連れて行かなければいけないとき(特に頭を打ったとき)の目安を教えてください。 | |
頭のケガの場合出血がひどいことがよくあります。それで動転せず、まずは親御さんが落ち着いてください。 呼びかけに応じるかどうか、事故後、けいれん、ひきつけたりしていないか、を確認してください。 また、事故直後、半日は目を離さないように。その日の入浴も控えた方がいいでしょう。丸2日間、嘔吐、ひきつけなどがないか様子を見てください。嘔吐は繰り返すようでしたら受診を。1−2回なら大丈夫な場合もあります。繰り返しますが、あわてずに子どもの様子に注意してください。 |
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誤飲 | |
誤飲した場合はどうしたらいいでしょう。また、特に日ごろ気をつけなくてはいけない危険なものはありますか? |
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3歳の子どもの口は直径39mmのものまで入ってしまうので意外と大きなものを飲み込んでいる場合があります。歯ブラシを飲み込んでしまったこどもを見たことがあります。歩きながら歯磨きをさせたりしないように。また、お箸なども口に入れたまま歩き回らせないよう気をつけてください。口やのどを傷つけてそこからバイキンが入ってしまう場合も考えられますので。 誤飲の危険性のある主だったものを挙げますが、よく分からないものを飲んだときはすぐに病院へ行って下さい。また、洗剤、大人用の薬を誤飲した場合は中毒症状がでる場合もあるので、注意が必要です。医療機関のサイトもご紹介しますので参考になさってください。 ●たばこ 自宅でまず吐かせて。口の奥に指をいれて喉の奥を刺激して吐かせてください。吐いたものは残らず掻きだしてください。 たばこの誤飲は再発の危険性が高く、4割にものぼります。水や牛乳を飲ませるとニコチンが体内で吸収されやすくなるので、決して飲ませないで下さい。 たばこよりも危険なのは、ニコチン抽出液です。灰皿代わりに使ったジュース缶をジュースだと思い込んだ誤飲が多く、重症になり、高濃度では5分以内に死亡してしまう怖いものです。直ちに受診してください。 (本当は禁煙するのが一番なんですけれどもね!!先進国で喫煙率が上がっているのは日本だけなんですよ) ●石油・除光液など揮発性のもの。 吐かせてはいけません。すぐ受診してください。 ●漂白剤 少量ならば牛乳を飲ませて対処してください。漂白剤は牛乳と混ぜると塩になります。大量の場合は受診を。 ●水銀体温計 水銀は少量でしたら、便で排出されるので心配要りません。ガラスで口に傷をつけた場合は受診を。 ●ボタン電池 リチウム電池の場合3Vと電圧が高く、大変危険です。胃酸と反応して金属が溶け出し、食道や胃に穴が空いてしまう場合も。すぐに受診してください。飲み込んだ電池の種類を確認してください。また、電池の蓋も意外と誤飲するケースが多いので注意。 ●ナフタリン・樟脳(衣類用防虫剤) 最も毒性が強いので、すぐ受診を。 ●最も誤飲の起こる確率が高いものは、たばこと大人用の薬です。大人用の薬を誤飲した場合は、中毒110番や医療機関の ホームページでも対処法が載っていますので参考になさるといいでしょう。でも、緊急の場合は病院へ。 |
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大きいものを飲んで喉を詰らせた場合、どうしたらいいでしょうか。 | |
のどを詰らせた場合は、子どもを膝の上にうつ伏せに載せ、背中を叩いて吐き出させます。またハイムリック法というのがあって、こどもを後ろから両腕で抱え、横隔膜の上で手を握り、肺を圧迫するように押し上げるのですが、これは肋骨骨折の危険もあります。 | |
やけど | |
やけどの場合の応急処置を教えてください。 | |
なるべく早く流水で冷やすことが大切です。患部の衣服は無理に脱がさないで。ハサミで周りを切ってもとってもいいでしょう。また、水ぶくれもつぶさないで。 熱湯をかぶった場合は救急車を呼んでください。とにかく、まず冷やしてください。 |
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低温やけどというのもあるんですね? | |
ホッカイロ、ホットカーペットで温めすぎないように。就寝時も人為的に温めすぎる必要はありません。 | |
出血 | |
出血が多いときはつい慌ててしまうと思うのですが・・・ | |
ガーゼなどで傷口を5−10分圧迫してください。出血が止まらない場合は病院へ。 |
ハーネス(子どもの背中につけるひも)をしていての事故(首の損傷など)というのはないんですか? | |
ちょっと聞いたことがありませんね。メーカーか消費者センターに問い合わせて見てください。それよりも、後ろについている紐が脚や首にまきつくほうが怖いですが。 | |
小さい傷でも膿んでしまったら病院にいったほうがいいのでしょうか。その場合は小児科でいいのですか。 | |
小児科でいいですよ。症状によって、外科を受診してくださいとの指示があるかもしれませんが。 爪のケガ、大きなおでき、腫れている場合は外科に行ってください。 | |
トゲが刺さって抜けない場合はどうすればいいですか | |
外科で受診してください。 |
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先生、今日は長い時間ありがとうございました!大切な子どもたちを事故から守るため、私たちもがんばります! |
<土屋先生から参考出版物、サイトを紹介していただきました。> ●情報サイト紹介 子どもの危険回避研究所 事故防止情報 http://www.kiken-kaihi.org/jikobousi.html kids Clinic(ファイザー製薬) メールサービスにエントリーするともしもの子供の中毒発生時に役立つ 「おかあさんのための中毒110番」をダウンロードできるアドレスを登録されたメールアドレス先に送ってくれる。 http://www.kidsclinic.gr.jp/index.html 中毒110番((財)日本中毒情報センター・ホームページ ) http://www.j-poison-ic.or.jp/homepage.nsf ●一般市民(ダイアルQ2) 筑波中毒110番 0990-52-9899 ただし、対応時間は 9:00−17:00 12月31日〜1月3日は休日 大阪中毒110番 0990-50-2499 1日24時間 年内無休 ●推薦書籍紹介 『海外での子どもの事故防止と救急救命』 ¥315 母子保健事業団 03-3499-3120 問い合わせの上、所定の注文書にて。 また、つちや小児科でも入手できます(実費) 『子どものケガ・事故・予防・救急ブック』 \1200 山中龍宏(子どもの城小児保健部長)監修 子どもの事故防止センター(豊島区池袋保健所)協力 株式会社ほんの木 発行 |
by さら
2005年2月号