その1

8月から、三鷹市内で映画の撮影がクランクインします。
地域に密着した市民参加の制作・公開というスタイルをとるこの映画
らくだ銀座」(監督・林弘樹)は、
その出演者の一部も地域で募集しました。
えみきちさんの愛息、ひっこくん3歳がたどる、
公開オーディションから映画出演・公開までの道のりを、
今回から連載で皆さんにご紹介します!



ACT.1−その日はやってきた−
 その日、えみきちの夫、なおきち(仮名)は朝早くから怒っていた。えみきちが何か粗相をしたのかと問いつめても、「別に・・・」と低い声でつぶやくだけで、朝ご飯の納豆をかきまぜる度に眉間の皺は深くなってゆく。
 普段は優しいなおきちだが、怒るとウルトラマンを倒したゼットンなみに怖い
(息子”ひっこ”談)。心の中でぐるぐると色んな事を反省しながら朝ご飯を食べていると、そんな母の心中など頓着しないひっこが、顔中を納豆だらけにしながら「パパちゃん、ごはん食べたらひっこと戦うか?パパちゃんバルタン星人でひっこはウルトラマンね」とのたまった。すると、なおきちは、眉間の皺をさらに深くして、しかし優しい声で、ひっこにこう言った。
 「ひっこ、今日はひっこのオーディションがあるからパパちゃんはひっこと戦えないよ。遅刻しちゃうからね。
 その時、えみきちは気づきました。夫なおきちが、ひっこが受ける公開オーディションに、自分が受けるわけでもないのに緊張して、緊張のあまり怒っているといういうことに・・・。
 6月7日(土)、映画「らくだ銀座」三鷹公開オーディション当日の朝を、えみきち一家はこのように迎えたのでありました。

 公開オーディションは、三鷹商工会館3階を会場にして行われました。当日の受付開始時間は午前10時〜だったのですが、後に聞いたところによると、何と朝6時からいらした方がいたそうです。審査開始が午前11時〜ですから、何と5時間待ち!すごい意気込みです。審査会場は、そんな大人達の熱気でむんむんしていたそうです。
 というのも、実はえみきちは1次審査には用事があって立ち会っていなかったので、なおきちからまた聞きで様子を聞きました。
 ひっこは公開オーディションに応募しましたが、募集されているのは「少年役」「30歳〜60歳代の男女」だったので、かなりお祭り気分でした。例えば、オーディション前日の夜中になってようやく写真を用意しようと思いたったものの、プリンタのインクが切れていて写真印刷ができずに、当日あわててアルバムからスナップ写真をピックアップしたというていたらくでした(笑)。
 審査員は女優の斉藤こず恵さん、監督の林弘樹さん、三鷹商工会関係の方などで、応募者約50名が1次審査からスタートしました。



ACT.2−1次審査とそれからそれから−
1次審査の審査要項を渡されて、なおきちはサーッと血の気が引いたそうです。1次審査の審査内容は2つ、”自己アピール”と”セリフ審査”・・・そうです、映画のオーディションなんだから当然ですが”セリフ審査”があったのです!

−「・・・ひっこ、セリフ読めるか?」
「ひっこ読めなーい(笑顔)」
−「そうだよなぁ。2歳だもんなぁ。」

とにかく、2人で相談する事にしました。

 審査の順番は、幼児なのを考慮してもらったのか、『3番』と早い番号でした。1,2番は小学生のお姉ちゃんだったそうです。

 番号と名前が書かれた紙を胸にかざし、審査員の前にたって、名前を名乗ったらオーディション開始です。
3番、ひっこです
これは、前のお姉ちゃん2人をよくみていたので、立ち位置もばっちり、きちんとできました。
 まず、”自己アピール”では自己紹介をして歌を歌うことにしました。インタビュアーはなおきちです。

−「何歳ですか?」
「2歳です」

−「大きくなったら何になりたいですか?」
「サッカー選手です」

そこで進行役の人から質問
−「アピールは何をしてくれますか?」
「歌を歌います」
−「なんのお歌を歌いますか?」
「ウルトラマンガイアです」
 
 しっかり伴奏のところまで歌いました。パパと違って余裕です。自己アピールは終わり。そして、いよいよ次は”セリフ審査”!です。進行役の人も困っています。なおきちに向かってききます。

−「えーと、セリフ審査ですが・・・読めますか?」
「読めません!」
−「どうしましょうか?」
「自由演技でやりますっ!!」

 おお!なおきちエライ!とこの話を聞いたとき、えみきちは感動しました。しかし、その後のひっこの話にはもっと感動しました(笑)

 ひっこの自由演技は、『百獣戦隊ガオレンジャー』でした。

命あるところ正義の雄叫びありっ!百獣戦隊ガオレンジャー!!

 セリフとアクションでばっちり決めて、「かわいい〜」の声援と共にちゃっかり拍手をもらったそうです。こうして、怒濤の1次審査は終わりました。っていうか、お祭りモードのえみきち一家はこれですべて終了の気分でした。
 ひっこは、たくさんの人の見守る中でガオレンジャーになれた事が嬉しかったらしく、「面白かったね」「もっかいやりたいね」「今度はゴウライジャーに変身するか」などどほざきながら終始ご満悦でした。そして、ひっことは対照的に、なおきちは「無事に終わってよかったぁ〜」とひたすら安堵していたのでした。
 しかし、実際にはこれだけでは終わらなかったのです!

by えみきち

to be continued...


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