第2回 「宇宙人」っているのでしょうか?

星のソムリエみたか(星空案内人) 
岡崎昌史(おかざき・まさふみ)

 皆さん、「宇宙人」はいると思いますか。H・G・ウエルズという英国の作家は「宇宙戦争」という小説で、タコのお化けのような「火星人」が地球に攻めてくるお話を書きました。実際には、米国の火星探査機が火星でいろいろ調べた結果、火星人は残念ながら見つかりませんでした。ただ、火星の地下には水があり、微生物のような生物がいる可能性もあるそうです。

 では、地球の人間のような生物はこの宇宙にいないのでしょうか。皆さんは私たちが住んでいる地球は太陽系に属しているのは知っていますね。その太陽系は「天の川銀河」という銀河(いわば、星の集団です)に属しています。天の川銀河には太陽と同じ恒星(自分で光り輝いている星)がいくつぐらいあると思いますか。天文学者の計算によると、1000億個くらいあります。さらに、宇宙には天の川銀河と同じような銀河が1000億個以上あるそうです。「以上」と書いたのはまだ宇宙の一部だけでの計算結果で、全宇宙での計算ではないからです。想像もできない多さですね。これだけ無数にあるのだから、地球に似た星があってもおかしくないですね。

 実は、フランスの国立科学技術センターが今年5月、地球から20光年離れた太陽系外惑星(太陽系の外にある惑星)に、地球と似た生命が存在できる可能性のあることがわかった、と発表しました。20光年というと近そうに思いますが、光が1年間に進む距離を「1光年」と言うので、実は大変な遠さなのです。光は1秒間に約30万km進みます。20光年はどのくらいの距離になるでしょうか。時間がある人は計算してみてください。

 フランスの研究チームによると、この惑星は恒星の「グリーゼ581」の周りを回る惑星「グリーゼ581d」で、2007年に発見されました。当初、恒星からの距離が遠すぎて寒く、生命が存在できる環境ではないと思われていましたが、大気による温室効果を計算すると、液体の水が存在できる温度になることがわかりました。地球と同じように二酸化炭素を含む大気がこの惑星にもあれば、海や雲、雨が存在し、地球に似た生命が存在する可能性も大きいわけです。

 ただ、地球の歴史は約46億年ですが、人類の誕生はせいぜい500万年前にすぎません。さらに、文明の登場は1万年前くらいです。グリーゼ581dが地球と同じ時期に誕生したと仮定した場合、同じような進化をたどり、「グリーゼ581d人」がいるかもしれません。でも、これは虫のいい考え方ですね。似た環境にあったとしても、誕生した時期が違えば、まったく違った歴史になる可能性の方が大きいのです。宇宙に無数の星があり、地球に似た惑星がたくさんあったとしても、宇宙人と交信できないのは宇宙の途方も無い広さと時間のためなのです。科学の考え方では「宇宙人」はいないと言えませんが、いるとも断言できないのです。

 次回は別な見方から、それでも「宇宙人」はいるというお話をしましょう。


2011年6月

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