ようこそ!アロマの世界へ

日本ハーバルアロマセラピスト協会認定 アロマテラピーアドバイザー リフレクソロジスト
崎谷明子(saki)さんによるアロマエッセイです



第30回 柚子の香りと効能


  日本でアロマテラピーが普及するようになったのは、1985年に英国のロバート・ティスランドの著書「アロマテラピー 芳香療法の理論と実際」という本が翻訳出版されてからだといわれています。でも、アロマテラピーを大きな意味で捉えると、古来より日本では人々は四季折々の自然の香りに囲まれながら、その恩恵を受けてきました。正月の屠蘇に始まり、5月の菖蒲湯や9月の菊の節句に冬至の柚子湯等、香りにかかわる伝統行事も多いことからもわかるように、日本は独自の香りの文化を築いてきています。

  香りの効果というのは皆一様ではなく、その人の体質、体調、年齢、季節等によって変わってきます。また、その人の文化的背景というのも実はかなり影響します。アロマテラピーが発展してきたのは主にヨーロッパであったため、精油の種類や特性などの研究はヨーロッパが対象におかれてきました。そのため、精油の効果がそのまま日本人にあてはまるわけではないとも言われ、日本人のためのアロマテラピーを考えるべきだという考えが何年か前から起こっています。そんな影響もあるのか、現在ではいろいろなメーカーが日本の植物から採油された和風精油を続々と販売し、注目を集めています。

  ラベンダーやユーカリはアロマではよく使う精油ですが、高齢の方にとっては馴染みがなく、その香りには抵抗があるようです。でも日本古来の植物の香りは高齢の方も抵抗なく受け入れることができるようです。やはり昔から自分の身近にあった香りというものは、心の落ち着きが得られるのでしょう。高齢の方に限らず、懐かしい香りと聞かれたら、やはり日本人でラベンダーを選ぶ人は少ないかもしれませんね。檜、柚子、モミ、ヒバ、等々日本の香りは色々ありますが・・・・今回はそんな日本の香りの中から私たちの生活に馴染み深い柚子を取り上げたいと思います。

  柚子の原産地は中国の揚子江あたりとされていて、日本には奈良時代には渡来してきたといわれています。現在の主産地は高知県や徳島県です。(余談ですが・・・高知県安芸郡の馬路村の柚子果汁入りのポン酢は美味しいのでお勧めです。私は酸っぱすぎるポン酢は苦手なのですが、これは味がまろやかで、わが家のお気に入りです。)11月頃に迎える最盛期に、最も強い香りを持つということで、今年は幼稚園の園長先生宅でもたくさんの柚子が実り、通園の度に本当に良い香りを放っていました。子供たちにも、もしかしたらこの香りが幼稚園の思い出の香りになるかもしれない・・・と思うと、それだけで胸がじ〜んとしてしまう、そんなノスタルジアを誘う香りです。

  冬至に柚子湯に入ると「1年中風邪をひかない」という言い伝えがあるように、柚子湯は身体を芯から温めてくれます。というのも、柚子の果皮に含まれる精油成分には毛細血管を拡張させ、血行を促進させる作用があるからです。新陳代謝を促す為、発汗作用もあり、疲労回復、冷えや腰痛、神経痛にもよいといわれています。ですから、柚子湯にするときは、皮つきのまま使うほうが効能をより得る事ができます。さらにあの何ともいえない柚子の香りが心身をリラックスさせてくれるので、冬には最高のお風呂です。

  上記に書きましたが、今は柚子の精油も市販されているので、こちらを購入すれば、手軽に柚子湯を楽しむことができます。方法はアロマバスと同じです。(第3回第6回コラムをご参照下さい。)柚子は他の柑橘系同様、皮膚刺激がありますので肌の弱い方や小さな子供には注意が必要です。
  また柚子にはクエン酸やビタミンCが豊富に含まれている為、抗酸化作用があり、病気の原因となる活性酸素を消去する働きがあるということです。また、ビタミンCということで、お肌にも嬉しい効果があります。ですから、その香りを楽しむだけでなく、食品として身体に取り入れることでもその効果を得る事が出来ます。小さい頃、祖母の家ではカリンや柚子などを砂糖やハチミツ漬けにして、私たちが遊びに行くと瓶から出してくれました。そんな懐かしさもあり、柚子のハチミツ漬けを作ったらとても美味しかったので、レシピをご紹介します。
 
 <柚子のハチミツ漬け>
  柚子    ・・・・・・   1個
  ハチミツ  ・・・・・・   100g
  密閉容器 ・・・・・・   1個

  柚子は、皮がついたそのままの状態で、よく洗い薄くスライスします。種も含めて、スライスした柚子をハチミツと混ぜて密閉容器に入れ、冷蔵庫に入れます。一日もすれば、柚子の果皮ごと食べることができるくらい美味しいハチミツ漬けになります。大さじ一杯程度のハチミツ漬けを熱湯に混ぜて作ったホット柚子は、身体がぽかぽか温かくなるだけでなく、風邪の引き始めの咽の痛みなどにも優しく作用します。ハチミツは通常手に入るもので十分ですが、ローズマリーのハチミツで作ったところ、軽い口当たりのホット柚子になったのでこちらもお勧めです。心も身体も温まるホット柚子是非お試しください。


2008年2月号



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