「食育」に関すること、三鷹の有識者の皆さんに教えていただきました!
Q | 三鷹市次世代育成支援行動計画2010(仮称)素案では、「幼児期には、食への関心を高めるような食事のあり方を支援し、食意識向上の基礎作りを推進」していくと書いてあります。具体的には、どういうことが行われるのでしょうか? |
A | 就学前の親御さんを対象に保健センターとコミュニティセンターにて、また、幼児対象に保育園で食育を実践(予定)しています。来年からは新しい取り組みとして第1子を持つ親対象に、コミュニティセンターで栄養士が講師となり 離乳食セミナーを実施する予定です! |
子育て支援室
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Q | 食育を実践する上で、大切なことって何でしょうか? |
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A | 本物の味を小さい頃から伝えていくことを大切にしていきたいので化学調味料を使わないことはもちろん、おなかがすいてから食べるということも今の時代ではとても大切なことです。 そして 何よりも大切なことは一緒に食べたい人がいる、みんなで食べるとおいしいということを伝えるということです。 |
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Q | なるほど。でもみんなで食べるチャンスって、保育園や幼稚園に入る前の子どもにはあまりありませんが。。。 |
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A | 市立保育園が行っている「地域開放事業」に参加してみては? 「地域開放」の日にはご近所の親子を園のイベントに招待していますが、この秋あけぼの保育園では豚汁パーティを企画しています。 保育園の庭にかまどを作って大きなお鍋でグツグツ煮て作る豚汁を仲間やみんなで食べると楽しくておいしい!ってことを親子で体験してくれればいいなぁと思っています。 |
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なるほど、楽しそうです。 地域開放の案内は、市報や子育て支援施設の掲示板、ホームページなどに掲載されていますので、ぜひチェックしてみてくださいね。 (BY みどりん) |
あけぼの保育園
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Q. | 食育と言う言葉が今よくきかれますが、食育についてどのようにとらえていますか? また、食育についての総合保健センターの取り組みを教えてください。 |
A. | 食育という言葉には、2つの要素があると思います。 1)食教育・・・自分の健康を守っていく力を養うことができるように、幼少期から食への関心、興味を持ち、知識を身につけることが大切。しいては、生活習慣病の予防にも繋がっていくと考えます。(でも、食育は、子どもだけが対象ではないと考えています。) 2)食を介して(体験により)心を育てる・・・家族で食卓を囲んだり、調理を一緒にしたり、楽しく食事をすることにより、コミュニケーションが生まれ、子供たちの心が満たされて育ちます。 保健センターでの取り組みは、これからです。保育園、幼稚園、学校等、他機関と連絡をとりあっていく必要性を感じています。 現在、保健センターで行っている講習会は、食育としての取り組みで始めたものではありませんが、内容的には、1)の食教育の要素が含まれています。 |
Q. | 保健センターではどういう講習会がありますか? |
A. | まず、妊婦さん向けの講習会を月に2回。離乳食初期の講習会(生後4ヶ月児の保護者)を月に2回、離乳食中期〜後期の講習会(生後8〜9ヶ月児の第一子の保護者)を月1回。幼児食の講習会(生後11〜13ヶ月の第一子の保護者)を月に1回行っています。 1歳1ヶ月以降のお子さん対象の講習会は、年2回、東児童館、西児童館で3〜4歳児向けの 幼児食講習会を開いています。 いずれも1回で完結する講習会ですので、その時、解らなかったことや実際にやってみてうまくいかなかったこと、困ったことがあった時には、いつでも、相談することが出来ます。 月に2回行っている乳幼児健康相談(0歳〜4歳未満)を利用していただいたり、電話での相談も可能です。気軽に、遠慮なく何でもお尋ねください。(電話0422−46−3254) |
Q. | 食育について今後どんな風になって行くとよいとお思いですか? |
A. | 保育園、幼稚園、学校その他いろいろな機関では、食べることに興味が持てるような機会をつくり、食べることが楽しく、自分で正しい選択ができる力をもてる食育が行えたらいいと思います。 子どもたちは、探究心や好奇心が旺盛です。食材のおもしろさ(産地や種類、味の違い)や栄養の知識(どんな食べ方をしたらよいか等)を学び、親(家族)に伝えてもらいたいと期待をしています。たとえば、小学生くらいになると、学校で3つの栄養素の働きを覚えてきて、「今日の食事、緑のものがないね。」なんて言うことができるようになり、親(家族)も「あら、ほんとね」と食事内容を意識するようになります。 また、料理が苦手と言って気にしているお母さんがいますが、家庭では、料理の技術ではなく、味や格好が悪くても、一緒に作ったり食べることでこどもの心は満たされます。子どもと一緒にできるやさしい料理を、楽しむことから始めたらいいと思います。楽しく食べることが何よりも基本になると思います。そのためにも、食卓が小言を言う場所ではなく、コミュニケーションの多い、居心地のよい場所であったらいいなと願っています。 |
三鷹市総合保健センター
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Q. | 食育について先生はどういう活動をされているのですか? |
A. | 基本的にクリニックでの診療および乳児健診で栄養指導含めて話をしています。 |
Q. | 先生がお考えになっている「食育」はどういうものでしょうか。
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A. | 子ども達の生活全般から食育をとらえています。快眠・快食・快弁を保証するためにはさまざまな生活の工夫が必要です。食事をきちんとするためにの工夫、それが生活全般への工夫にもつながり、子ども達が心身ともに健康になるのではないかと考えています。 |
Q. | 食育について、子育て中の母親へのメッセージをお願いします! |
A. | 毎日の食事をきちんととることは、子ども達の成長にとても大切なことです。そのときに食事だけに目を向けるのではなく、生活全般にも同時に目を向けていただきたいと思います。 |
あきやまこどもクリニック
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Q. | 先生のお考えになる「食育」とはどういうものですか。 |
A. | 料理の服部幸應先生が提唱する「食育」ですが、これは子どもが食事をする状況を考える(孤食を避ける、など)ことと、もうひとつは食事の内容を見直すということになるかと思います。 小児科医(というか、医療に携わる者の立場)としては、後者を生活習慣病の問題としてとらえています。 例えば成人病である糖尿病(U型)が、今、子どもの間で非常に増えています。普通、成人病とは40歳で発病するのに、今は中・高生の段階で発病してしまっているのです。糖尿病は合併症(腎臓が悪くなる、目が悪くなる、骨折しやすくなる)が怖い病気ですから、発病するのが中高生では、病気と付き合わなければならない期間が長くなってしまいます。糖尿病の怖いところは、痛みを伴わないため、本人も知らぬ間に病気がどんどん進行してしまっていることです。 今はコンビニやファーストフードで手軽に食品が手に入りますが、それでは味付けがしっかりしすぎて味覚が薄れてしまういます。やはり家庭で食事を作る、というのが基本にある生活が大切なんでしょうね。それを分かっていただくためには、やはり母親なり、子どもなりに食事の大切さを教える教育をして、健康の質を高めることが必要だと思います。何をするにも体が基本なのですから。子どもに食事への意識、興味を持たせるには一緒にご飯を作るというのはどうでしょうか。 また、今欠乏しがちな栄養素として、カルシウム、鉄分が挙げられます。カルシウムに関しては、骨密度は思春期に一番上がっていくものなのですが、その思春期にいい加減な食生活をしてしまうと、将来特に女性の場合、更年期になってから、大きなツケがまわってきてしまうのです。 鉄分に関しては、三鷹市では行っていませんが、ある地方自治体で小学校高学年の健康診断で採血を行うと、潜在的に鉄欠乏症になっている女子生徒が増えてきているのには驚きます。 また、肥満も問題です。これも三鷹市ではないのですが、5年生で成人病検診をおこなっているところもあるんですよ。肥満で来院する子どもは大抵親も体格のいい人が多いのですが、そういうところを見ても小さいときから食と自己管理の意識を高めるのは大切なのかもしれませんね。 女性は妊娠中に健康管理に気を遣い、出産して子どもに離乳食を与えるときには必ず薄味で、極力手作りで・・・と食事としっかり向き合う時期があるはずです。親が食事に対する関心が薄れてしまうのが一番問題でしょう。 |
Q. | 食育について、子育て中の母親へのメッセージをお願いします! |
A. | 朝ごはんはしっかり食べて! 朝食は金、昼食は銀、夕食は銅という言葉もあります。薄味で、味噌汁は具沢山で。ということを実践してみてください。 楽しく食べて健康に! 将来の社会をしっかりしたものにするためにも、子どもに食べ物の大切さをしっかり教えてあげてください。体が第一なのですから! |
つちや小児科
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Q. | 食育では、「食べ物がどこから来ているのか」というのを知るのも大切なんですよね? |
A. | そうですね。私たちの農業はいわゆる「都市型農業」で、皆さんの身近での農業です。そういう立場から、農業生産者として、地元の栄養士さんたちと何かできないか、と話し合っているところなんです。 |
Q. | 子どもたちにとって、自分のお皿の中にある野菜がどうやって生まれているのかを知ることができる機会があるというのはいいですね! |
A. | 三鷹市の小学校では、「学校農園」という形で、付近の農家さんたちが協力し、「食べ物はこういうふうにできるんだよ」ということを学ぶ機会があります。また、私たちも、学校の給食に旬の野菜を提供しています。また、今は研究段階なんですが、市と協同で、給食の残りをコンポスト化し、「エコ堆肥」というものを作り、環境保全などにも役立てる試みも行っています。実際、その堆肥を使って育てた野菜を小学生に配ったりもしたんですよ。 |
食べ物というものは自分の目の前にあるときだけではなくて、その前はどうだったか、その後はどうなるのか、そんなことを学んでいくのも大切ですね。自分の「食」のことだけではなくて、ひいては、「食」を支える環境についてまで考えられるようになりそうですね!(by ryuryu) |
JA東京むさし三鷹地区青壮年部ホームページ |
Q. | 管理栄養士という立場から考える「子育て中の家庭にとっての食育」ってなんですか?? |
A. | 食育は新生児の時から始まっているんですよ。母親が摂取した食事で母乳の味は変わり、脂肪や糖分の多い食事をしますと、どろっとした黄色く、しょっぱいオッパイが出ます。ですから母親も薄味・無添加品・素材を楽しむ食事をすることで、美味しいオッパイが出て赤ちゃんの味覚は決まっていきます。(調合ミルクは栄養バランスの整ったものなので安心してください。) |
Q. | なるほど・・・そして「離乳食」へとつながっていくんですね。 |
A. | そうですね。そして、離乳食期には、季節の野菜・魚など旬を大切にし、赤ちゃんから
味の分かる能力をつけてあげてください。例えば野菜は路地もの(旬のもの)は、旨味も栄養素もとても多く、温室の物とはくらべものになりません。また魚も脂を多くのせる為に、餌に脂を添加したものを与えた養殖魚よりも、何も添加されていない天然のものを食べるなど、
食べ物の育ちを感じる能力も付けてあげてほしいな、と思います。 |
Q. | 味がわかると、食べ物がどういうふうに育ってきていたか、わかるようになるんですね〜。他にも子供のときに身につけておきたい能力はあるんですか? |
A. | はい。最近とても食品に添加物が多く使用されています。日持ちさせる為に保存料、色を良く見せる為に発色剤、美味しく感じるように調味料(アミノ酸)、食品中の脂肪分が酸化すると有害物質がでるので、それを防ぐための酸化防止剤等あります。このようなものが添加されたものを多く取ることで、現在多くなっているアトピー(アレルギー疾患)になる一因とも言われていますので、
食べ物を選択する能力を付けてあげて下さい。 |
Q. | なるほど。そうすれば、成長して自分で食べ物を選ぶようになったときも、何を食べたらいいのかいけないのかわかってきますね。 |
A. | それから、幼児になると食事のお手伝いに興味が出始めたころに、一緒に料理を作り、自分で作ったものを食べ、嫌いだった物が美味しいく感じることがありますので、
料理する能力も付けてあげて下さい! |
11月号の伯母さんの話はコチラ! |
管理栄養士 伯母直美(うばなおみ) NPO「あとぴっ子ママ」顧問管理栄養士 JA東京むさし三鷹地区青壮年部HP レシピ掲載 (株)大地 プロセス誌にレシピ掲載 桶谷式母乳管理法 「育児通信」レシピ・コラム掲載 田舎の学校 畑でクッキング イタリアン料理講師 自宅(三鷹市大沢)にて料理教室「暮らしのレシピ」主宰
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2004年10月号