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力を抜いて,ゆったりと・・・・



第56回 男性にも産後うつがある時代




■お父さんたちよろしく!
2月に入りインフルエンザが大流行、この冬は、特別寒いように感じます。
毎月エッセイのテーマに頭を悩ませるのですが、過去を振り返るとなぜかこの時期、父親の育児参加について書いています。
年末年始で家族連れを多く見るせいでしょうか、父親の育児参加についてのイベントなどが目につく時期だからでしょうか、理由は自分でもよくわかりません。

2008年「お父さんたちよろしく!」では、中央大学の広岡守穂先生やファザーリングジャパンの安藤哲也さんと出会った話を書きました。当時積極的に育児をする父親、そしてそれを世間に広めようとする男性との出会いは新鮮でした。
また、お二人がそう思うに至る経緯についてお話しを聞いたり、著書などで読んでみると、愛する奥さまへの思いやりの気持ち、またはご自分の母親への特別な思いが原点となっていました。

2009年2月の「2009年もお父さんたちよろしく!」では、三鷹にできた「おやじの部屋・みたか組」の事を書きました。「おやじの部屋・みたか組」は、ゆるやかに、確実に地域に父親を中心とするネットワークを作っています。
わたしも、年に数回おやじの部屋のお父さんたちとお話しする機会がありますが、家庭や地域で子育てを楽しんでいる姿は頼もしい限りです。家庭内でも同じですが、男親の必要性を地域でも感じます。
そして、昨年2月は、「イクメンの時代」というシンポジウムに参加しました。育児休業を取った、著名な方々のお話しを聞き、ワークライフバランスという言葉が、だいぶ現実味を帯びて聞こえました。

■ずいぶん進んだ男性の育児参加
この5年ほどで、日本の男性もかなり育児に参加するようになったと肌で感じています。
かつては、一人で赤ちゃんを抱っこバンドに入れて歩いているお父さんは、とても珍しい存在でしたが、今では、赤ちゃんをお洒落なスリングに入れ、更にもう一人小さなお子さんを乗せたベビーカー押している若いお父さんを頻繁に見かけるようになりました。
小さな子どもを2人連れて出かける大変さを知っているので、もちろん母親たちに対してもそうですが、尊敬の眼で見てしまい、心の中で「がんばって!」とエールを送っています。

日曜日の公園の光景も変わりました。
夫婦またはお父さんと子どもたちが、遊んでいる風景が見られます。
私の時代、週末の公園では、「家にパパはいるけど、休みの日くらいゆっくり寝せてくれと言われて、子どもと公園に来ているの。」というため息まじりの声をよく聞きました。

知り合いの若い母親たちの家庭でも、父親が休日子どもを見てくれたり、平日でも母親に代わって子どもの面倒を見るために会社を休むこともめずらしくありません。

イクメンという言葉も、世の中に浸透し、ある調査では、夫がイクメンだと思うかという問いに、約70%がイエスと答えているそうです。但し、家事分担については、まだまだのようです。それにしても私たち一昔前の世代からみると、考えられないほどの変化です。

■男性の産後うつ
先日たまたまテレビをつけていたら、「男性の産後うつ」を取り上げた番組がありました。
男性の育児参加が、日本よりかなり進んでいるアメリカの話しでした。
出産をしない男性がどうしてうつになるのだろうと、思いながら見ていると、妻と一緒に子育てをがんばらなければ、家計を支えていかなければという思いや、理想の父親像のプレッシャーのせいで、また、どんな風に赤ちゃんと接していいかわからない不安、母親が赤ちゃんに独占され父親または夫としての自分の存在価値を見いだせなくなってなど理由は様々でした。

この調査では、男性の10人に一人が産後うつになるということでした。
男性の産後うつが、子どもの虐待などにつながるケースもあるらしく、母親の産後うつと同様に看過せない重要な問題だと感じました。

■必要なのは、コミュニケーション
そして、その解消法についても、レポートがありました。産後うつの場合、母親と同様に病院で診察を受け薬を必要な場合は薬を処方されますが、その他に効果のある対処法として、画面には、赤ちゃんを連れたお父親たちが集まって、日頃の不安や悩みなどを話しあう光景が映し出されていました。
赤ちゃん連れの母親の集まりは見慣れていますが、赤ちゃん連れの父親だけの集まりは、日本ではまだ珍しいかもしれません。
そうです、母親たちと同じで、父親たちも子育て中の気持ちを共感しあえる仲間とのコミュニケーションの場が必要ということでした。

「うつ」というのは、まじめで何でもきちんとしないと気が済まないタイプの人がなりやすいとききます。初めての育児でわからないことだらけ、母親だけでなく、父親もまじめであればあるほど、不安やプレッシャーを感じやすいのでしょう。
子どもを産み育てるということは、とてもプライベートなことなので、家族内でなんとかなるもの、なんとかしなくてはいけないものと考えてしまいがちです。
そこが、多分落とし穴なのかもしれません。
同じくらいの年齢の子どもを育てている同士での情報交換や、何気ないおしゃべりなど、日常の他人とのコミュニケーションに勝る助けはないのだということを、この番組を見ながら再確認しました。

■夫婦の日頃のコミュニケーションも大切
また、ある会に出席した時、イクメンが増えたのはいいけれど、父親が子育てに力を入れ過ぎて、細かいところまで母親に口を出し、手伝ってもらうのは嬉しいけれど、かえって負担になるという話しも聞きました。
なかなかうまくいかないものだと感じましたが、そこは、やはり、夫婦で上手に話しあって、役割分担をきめるとか、お互いに不機嫌になる前に話し合いをすることで解決したいものです。
誰でも、自分のやって欲しいところだけやってくれればいいのにと思うものですが、相手も、多分同じことを考えていますから、自分の都合の良いようにばかりいくはずはありません。
だから、思ったことは、上手に相手に伝えることが必要です。
子どものことに限らず、日常のコミュニケーションは、本当に大切だと思います。

子どもを育てる楽しさは、女性だけのものではありません。
男性にも子育ての楽しさや、子どもが成長する喜びを味わってほしいし、小さな子どもと過ごせる貴重な日々を大切にしてほしいと思います。
男性も女性も、仕事とプライベートを上手に両立して、豊かに生きていける社会になれば、「子育て支援」などという言葉もいつか少しずつ消えて行くのかもしれません。


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nana


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